専修人の本_2024年度
2024年度 新刊紹介

ぼっちのままで居場所を見つける ――孤独許容社会へ
発売日 2024.10.10
著 者 河野 真太郎
発 行 筑摩書房
価 格 税込990円
著 者 河野 真太郎
発 行 筑摩書房
価 格 税込990円
本書は孤独論であり、英文学を軸とした近代文学論でもある。
現在、孤独や孤立が社会問題化される一方、それを解消するにあたって、孤独、「ぼっち」はぜひとも避けるべきであるという思い込みが強くなり、それがむしろ孤独を生み出しているかもしれない。
本書では、ロンリネス(悪い孤独)とソリチュード(良い孤独)の区分を足がかりに、『ロビンソン?クルーソー』から『ジェイン?エア』『シャーロック?ホームズ』や、ヴァージニア?ウルフの作品など(さらに現代の漫画やアニメ)を巡って、近代に孤独の観念がいかにして発明され、人々がどう応答していったかを検討する。最終的には現代の排除型社会を変えるための問題提起をしている。
著者(こうの?しんたろう)国際コミュニケーション学部教授。英文学。
現在、孤独や孤立が社会問題化される一方、それを解消するにあたって、孤独、「ぼっち」はぜひとも避けるべきであるという思い込みが強くなり、それがむしろ孤独を生み出しているかもしれない。
本書では、ロンリネス(悪い孤独)とソリチュード(良い孤独)の区分を足がかりに、『ロビンソン?クルーソー』から『ジェイン?エア』『シャーロック?ホームズ』や、ヴァージニア?ウルフの作品など(さらに現代の漫画やアニメ)を巡って、近代に孤独の観念がいかにして発明され、人々がどう応答していったかを検討する。最終的には現代の排除型社会を変えるための問題提起をしている。
著者(こうの?しんたろう)国際コミュニケーション学部教授。英文学。

社会民主主義と社会主義
発売日 2024.12.13
著 者 松井 暁
発 行 専修大学出版局
価 格 税込3,080円
著 者 松井 暁
発 行 専修大学出版局
価 格 税込3,080円
ソ連型社会体制の崩壊後、先進資本主義国において福祉国家を推進してきた社会民主主義こそがもっとも期待できる社会主義の潮流であり、新自由主義によって縮小された福祉国家を再建することが社会主義の当面の課題である。
しかしグローバル化と情報化の段階にある今日の資本主義のもとで福祉国家を永続化させることは不可能であり、われわれは再建福祉国家からさらに生産手段を社会的所有にした共産主義社会へと進まねばならない。今日の社会民主主義に求められるのは、社会主義へと自らを刷新することなのである。
本書ではこの展望の根拠を、今日の福祉国家が直面する四つの問題、すなわち経済成長か定常状態か、「労働の解放」か「労働からの解放」か、国家の存続か廃絶か、ナショナリズムかコスモポリタニズムかに取り組むことを通じて提示する。
著者(まつい?さとし)経済学部教授。経済思想。
しかしグローバル化と情報化の段階にある今日の資本主義のもとで福祉国家を永続化させることは不可能であり、われわれは再建福祉国家からさらに生産手段を社会的所有にした共産主義社会へと進まねばならない。今日の社会民主主義に求められるのは、社会主義へと自らを刷新することなのである。
本書ではこの展望の根拠を、今日の福祉国家が直面する四つの問題、すなわち経済成長か定常状態か、「労働の解放」か「労働からの解放」か、国家の存続か廃絶か、ナショナリズムかコスモポリタニズムかに取り組むことを通じて提示する。
著者(まつい?さとし)経済学部教授。経済思想。

日本人は英語の発音をどう学び、教えてきたか: 英語音声教育の小通史
発売日 2024.10.23
著 者 田邉 祐司
発 行 研究社
価 格 税込3,850円
著 者 田邉 祐司
発 行 研究社
価 格 税込3,850円
本書は、日本の中等教育における英語音声(発音)指導のhistoriography(歴史記述)である。
音声指導は入門期には行われるものの、学年進行につれて形骸化する。学習者も語彙、文法、解釈中心の”目の学習”に集中しがちである。音声は英語コミュニケーション能力の基盤だが、現場の主流ではない。こうした指導形態が日本人の英語力の”脆弱性”の要因であることは否定できない。
音声指導はこれからどういう方向へ進むのか、そもそも、なぜ日本人は英語を克服できないのか。この問題意識をもとに著者は歴史的なアプローチから英語音声指導?学習の日本での変遷をつづり、今後のあり方を展望する。
著者(たなべ?ゆうじ)文学部教授。英語教育学、英語教育史。
音声指導は入門期には行われるものの、学年進行につれて形骸化する。学習者も語彙、文法、解釈中心の”目の学習”に集中しがちである。音声は英語コミュニケーション能力の基盤だが、現場の主流ではない。こうした指導形態が日本人の英語力の”脆弱性”の要因であることは否定できない。
音声指導はこれからどういう方向へ進むのか、そもそも、なぜ日本人は英語を克服できないのか。この問題意識をもとに著者は歴史的なアプローチから英語音声指導?学習の日本での変遷をつづり、今後のあり方を展望する。
著者(たなべ?ゆうじ)文学部教授。英語教育学、英語教育史。

所有権について考える-デジタル社会における財産-
発売日 2024.7.25
著 者 道垣内 弘人
発 行 信山社
価 格 税込1,540円
著 者 道垣内 弘人
発 行 信山社
価 格 税込1,540円
社会科学において「所有権」が盛んに論じられたのは、戦後、農地改革や財閥解体があり、さらにマルクス主義の強い影響があった時代であった。ところが、現在でも書店に行けば、哲学等いろいろな分野で「所有」を問題とする書物が多く出版されていることがわかる。そこでの議論はかつてのものとは異なる問題意識に基づく。本書はこれら現代的な問題のいくつかを考えてもらおうとするものである。
紙の本は「所有」できるが、電子書籍はどうか。ビットコインなどの暗号資産はどうか。ほかにもさまざまな問題が、私たちが当然と考えている「所有」の概念を揺さぶる。
高校生向けの特別講義を本にしたものだから、学生の皆さんにも読みやすいと思う。手に取っていただければ幸いである。
著者(どうがうち?ひろと)法科大学院教授。民法。
紙の本は「所有」できるが、電子書籍はどうか。ビットコインなどの暗号資産はどうか。ほかにもさまざまな問題が、私たちが当然と考えている「所有」の概念を揺さぶる。
高校生向けの特別講義を本にしたものだから、学生の皆さんにも読みやすいと思う。手に取っていただければ幸いである。
著者(どうがうち?ひろと)法科大学院教授。民法。

半径5メートルのフェイク論「これ、全部フェイクです」
発売日 2024.7.31
著 者 岡田 憲治
発 行 東洋経済新報社
価 格 税込1,980円
著 者 岡田 憲治
発 行 東洋経済新報社
価 格 税込1,980円
本書は、政治、社会、日々の生活に当たり前のこととして浸透している大中小の「フェイク」(いかがわしき知識や認識)を個抽出した。トランプ前大統領の発信した「バイデンが大統領選挙の勝利を盗んだ」といった荒唐無稽なものを脇に置いて、「PTAは教育委員会や学校の下部組織である」「自分らしさを失ってはならない」といった、日々の生活者を呪縛するものの内容を丁寧に切り分けている。
刺激的なタイトルとは裏腹に、本書の目的は著者の価値観で「それはフェイク」と断罪することではない。そうした誤認識が受け入れられ日常に忍び込むプロセスを掘り起こし、読者が各々の価値観を通じて、再度「自分で判断する」ための契機を提供している。高度情報化社会で直面するこの問題を、いま一度冷静に受け止めるために必要な一冊である。
著者(おかだ?けんじ)法学部教授。政治学。
刺激的なタイトルとは裏腹に、本書の目的は著者の価値観で「それはフェイク」と断罪することではない。そうした誤認識が受け入れられ日常に忍び込むプロセスを掘り起こし、読者が各々の価値観を通じて、再度「自分で判断する」ための契機を提供している。高度情報化社会で直面するこの問題を、いま一度冷静に受け止めるために必要な一冊である。
著者(おかだ?けんじ)法学部教授。政治学。